2010年12月25日土曜日

Christmas Collection: 20th Century Masters - JACKSON 5(2003)


 イブから一夜明けたクリスマスの朝、サンタさんのプレゼントは枕元にありましたか?
 クリスマス特集の最後は、「昨日の夜、ママがサンタにキスしてるのを見ちゃったよ!」(I Saw Mommy Kissing Santa Claus)というマイケルのコメントがかわいいJackson 5のクリスマスアルバムです(オリジナルの発表は1970年)。"サンタが町にやってくる"や"赤鼻のトナカイ"などどちらかというと子供向けの選曲で、しかも10歳そこそこのマイケルが歌っているというのに大人顔負けの歌いっぷりにびっくりします。
 ことしはマイケルが亡くなるという残念な年になってしまいました。このアルバムを聴くと、小さい頃からもう特別な存在だったんだなとしみじみ思います。

2010年12月24日金曜日

Christmas Through Your Eyes - Gloria Estefan(1993)


 私の一番好きなアルバムです。
 アルバムタイトル曲を除けばよく知ったクリスマスソングばかりですが、Miami Sound Machineの軽快なリズム&ホーンセクションや情緒豊かなオーケストレーションをバックにしっとりと歌い上げる彼女の歌声が素敵です。
 ノリノリのサンバカーニバルみたいな曲はありませんが、やっぱり聴いていてまぶたに浮かぶのはカリブの青い空。外は雪かもしれないけれど、そんなことが感じられない暖かい家の中で、キラキラと輝くクリスマス飾りに囲まれている雰囲気です。暖炉の前に座り込んで、少しロマンティックな気分にもなりそうな。
 ラテン系の人には敬虔なクリスチャンが多いと聞きます。彼女自身がどうなのかは知りませんが、クリスマスを単なる商業的な機会とは捉えずに、ちゃんと気持ちをこめてつくられている感じがします。
 マライヤよりもお勧めです。

Merry Christmas Have a Nice Life! - Cyndi Lauper(1998)


 元気いっぱいの不思議ちゃん、シンディーローパーの魅力全開のクリスマスアルバムです。全11曲中トラディショナルは4曲。それも「きよしこの夜」を除けば、ほかではあまりカバーされていない曲ばかりなので新鮮です。
 厳かに、しめやかに、そんな歌は一曲もありません。ジャケットイメージ通りの、明るく楽しくアットホームな一枚です。
 "Early Christmas Morning"には、上々颱風(Shang Shang Typhoon)が参加した賑やかなバージョンもありますが、このアルバムでは少年合唱団を加えて(少しだけ)落ち着いた雰囲気になっています。1歳の長男のかわいい声が入った曲もあって、子供の頃の楽しかった(お酒の入らない)クリスマスパーティーが思い出されます。

Christmas Songs - Eddie Higgins Trio(2004)


 いよいよ今日はクリスマスイブ。パーティーで盛り上がるのか、大切な人と静かな時間を過ごすのか、あるいはサンタさんのプレゼントを楽しみにして早々にベッドにはいるのか。皆さんはどんなイブを過ごされるのでしょうか。
 今日の一枚はどんなクリスマスにもぴったり合いそうなピアノトリオです。コマーシャルなクリスマスソング中心のⅠと厳かな讃美歌中心のⅡがあります。AMAZONのリンクにジャケットイメージがないのが残念ですが、どちらも「しんしん」と降る雪の音が聞こえそうな静かな雪景色が描かれていて素敵です。
 JAZZファンはもちろん、いままでJAZZを聴いたことのない方にもお勧めです。

Christmas With the Puppini Sisters - Puppini Sisters(2010)


 マリリンモンローが"Boop Boop Bee Doop!"とセクシーな歌声を聞かせていた時代が懐かしいです。とは言っても、私がその映画(お熱いのがお好き(1959))を見たのは発表からずいぶん経ってからのことですけれど。
 あの頃のお気楽な感じを再現したレトロポップな女性コーラスグループです。最初に目にした時「ポンポンシスターズ」と間違って読んでしまったのですが、実際に聴いてみるとまさにそんな感じの、元気にはじける歌声にクリスマスの楽しい気分が盛り上がります。余計なことを考えたくない時にお勧めです。

2010年12月23日木曜日

a white album - akiko(2007)


 プロデューサーに小西康陽を迎えて、pizzicato fiveのJazz盤みたいに仕上がりました。おしゃれなクリスマスパーティーを盛り上げる楽しい一枚です。
 しっとりとしたジャジーなナンバーから、ノリノリのDJミックス、賑やかなホーンセクションやいかしたスカビートなどなど、おもちゃ箱をひっくり返したような内容ですが、うまくまとまっているのはプロデューサーの手腕と彼女の歌唱力のたまものでしょうか。
 ジャケットワークもイイ感じ。
 季節限定の一発ものだったようで、すでに廃盤になっているのが惜しいアルバムです。

2010年12月22日水曜日

A Winter Shmphony - Sarah Brightman(2008)


 ガチャガチャとしたロックやポップスのクリスマスアルバムは苦手という方も、彼女の歌なら満足して聴けるのではないでしょうか。ABBA、Neil Diamond、Greg Lakeなどなどポップな曲からバッハの"Ave Maria"まで、透き通るようなソプラノが聖夜の空に心地よく響きます。
 どの曲もクラシカルに編曲されていますが、逆にクラッシックが苦手というポップス派にも楽しめるアレンジになっています。中程に挟まれた"I Wish It Could Be Christmas Everyday"は、ちょっとはしゃぎすぎという気がしないでもないですが…。
 歌よりも彼女の美貌を前面に出したマーケティングがちょっと鼻につきますが、内容はしっかりとした実力派です。Mariah Careyと併せて聴くと、バランスが良いかもしれません。

2010年12月21日火曜日

Platinum Christmas - Various Artists(2000)


 オムニバスアルバムの良いところは、単独では絶対買う(聴く)ことのないアーティストの曲が手にはいること。そして、それが当たりだったりすると結構うれしいものです。
 このアルバムでは、Britney Spears、Backstreet Boys、TLC、Monicaなど90年代のアーティストたちが聞き所です。トリをとるWhitney Houstonもかすむその若々しさがいいですね。Santanaが参加しているのはご愛敬かな?
 こういう企画ものは生ものなので、次のクリスマスシーズンにはもう手に入らないということがよくあります。このアルバムも残念ながら今は廃盤。収録されている中には現在はなりを潜めてしまった人たちもいますが、「こんな人たちもいたな」という思い出も含めて、今でもよく聴くアルバムです。

2010年12月20日月曜日

A Very Special Christmas - Various Artists(1987)


 80年代にRock、Popsをよく聴いていた人なら感涙ものの豪華メンバーが集まったオムニバスアルバム。「クリスマス・エイド」の名前でシリーズ化されていますが、"Do They Know It's Christmas?"を歌ったチャリティ・プロジェクトBand Aidとは関係ありません。
 個人的にはEurythmicsの"Winter Wonderland"が気に入っていますが、ほかにもRun DMC、U2、Bon Jovi、Stevie Nicks、…どの曲もアーティストの個性が光る名演で、いちいち名前を挙げていたらきりがありません。
 クリスマスシーズンでなくても、聴きたくなるアルバムです。

This Is The Season - Trijntje Oosterhuis(2010)


 やれやれ。今日のクリスマスパーティにはもう間に合わないな。このまま帰るのも何だから、ジャズバーで一杯やっていこうかな。
 そんなに大きくない店の奥で、ベテランの女性シンガーがクリスマスソングを歌っています。オンザロックを飲みながら、カウンターに片肘をついて、少しハスキーなその歌声に耳を傾けます。伴奏はギターが一本だけ。その控えめな演奏が彼女の歌をいっそう引き立てます。
 そんな感じのアルバムです。
 選曲が素晴らしい。世界の平和と恋人たちの歌。「私たちが愛し合って、みんなも愛し合って、そして世界に平和が訪れますように」というメッセージを繰り返し歌っています。大切な人のことを思って、心がしみじみとしてきます。
 やっぱり家に帰ろう。

2010年12月19日日曜日

inner Resort ~ A CHIRISTMAS CHILLOUT - Various Artists(2004)


 今日は踊り疲れたね。もう夜も更けてきたし、キリキリッと冷えたフローズン・ダイキリでも飲みながら、ちょっと休憩したい感じだよね。お酒と音楽に酔って頭も体もユラユラしているけど、音楽を切り替えて少し冷まそうよ。ジャケットを脱いで、胸元をゆるめて…。
 キミも脱がない?
 という感じのアルバムです。
 真夜中に、あまり健全ではない状態(?)で聴くと良いかもしれません。
 ジャケットのイメージは、朝方、仕事を終えて帰って行くサンタクロース。そんな景色が見られるまで遊びたい。もう若くはないのに、そう思うことが時々あります。

8 Days of Christmas - Destiny's Child(2001)


 オリジナルの4曲はもちろん、トラディショナルな曲もデスチャ独自のアレンジがされていて、オリジナル盤かと思わせる仕上がりです。ダンサブルな1曲目のタイトルチューンからググッと彼女たちの世界に引き込まれます。
 3人の見事なコーラスもそれぞれのソロも聴き応え十分。昔、ウーピー・ゴールドバーグ主演の「天使にラブ・ソングを…」(1992)という映画がありましたが、それを今リメイクして「天使にクリスマス・ソングを…」とするなら、サウンドトラックにこのアルバムを使ったらおもしろいだろうな(修道士姿のビヨンセを想像するのは難しいですけど…)。そんな感じの、ポップでもあり敬虔な雰囲気も併せ持った一枚。
 クールです。

The Christmas Album - The Manhattan Transfer(1992)


 この時期になるとあちこちのホテルで催されるディナーショー。私は行ったことがありませんが、どんな感じなんでしょうか。綺麗な服に着飾って、ゴージャスな料理を食べながら、こんな音楽を聴くのでしょうか。
 そんなことを思わせるアルバムです。
 ビックバンドをバックにした華やかな曲から、しっとりと聞かせる美しいハーモニーまで、ジャジーなクリスマスナンバーが詰まっています。
 ディナーショーには行けなくても、夕食の席にいつもは掛けないテーブルクロスを敷いて、このCDをかければ気分が盛り上がること間違いなし。少し高めのワインも開けちゃいましょうか。
 2004年には全編アカペラの"An Acapella Christmas"もリリースされていますが、こっちの方がマントラらしい感じがします。

2010年12月16日木曜日

Boas Festas - Ono Lisa(2000)


 今日のパーティは夜の6時からです。早く来すぎたお客様は、ソファーにくつろいで、この曲を聴きながらお待ちください。
 そんな感じのアルバムです。よくわからない?まぁ、聴いてみてください。
 ボサノバの人気は相変わらず高いですね。企画もののクリスマスアルバムにもボサノバアレンジのものがたくさんあります。アコースティックな和み系や、エレクトリックなパーティミックスなど、趣もいろいろ。中でも一番は、やはりこの一枚でしょう。
 小野リサはブラジルと日本の両方の心を知るアーティストとして、我々の琴線に触れるボサノバを歌ってきました。このアルバムも、日本のクリスマス風景に似合った感じに仕上がっていますね。安心して聞ける一枚です。
 それにしてもこのジャケットは味気ないですね。私の持っている盤では、窓から見える雪景色をバックに、プレゼントに囲まれてギターを持った彼女が微笑んでいます。なんで変えたのかな?

A Sunflower at Christmas - Pearlfishers(2004)


 基本的に、私は本やCDを買う時はネットではなく店舗に足を運び、平積みから買います。つまり、「新しい」か「お勧め」のなかからいわゆる「ジャケ買い」をするわけです。ジャケット(本なら装丁)の趣味が合えば、たいてい中身も外れがありません。
 それで、Pearlfishersです。輸入盤なので解説はなく、ネットにもあまり情報がないのでどういう人たちなのかわかりませんが、この子供がかわいいでしょ。今はなき渋谷のHMVの店頭で見つけて飛びつきました。グラスゴー(スコットランド)のポップスグループだそうです。
 アルバムタイトル曲の一部に挿入された"Away In A Manger"を除いて全曲オリジナルですから、あまりクリスマスアルバムという感じがしないかもしれません。でも、よく聴いていると、雪に埋もれたスコットランドのクリスマス風景が見えてくるような気がします。
 ジャケット写真通り、ちょっとひねった、でも趣味の良い感じにまとまった好盤です。

2010年12月14日火曜日

Hymns, Carols and Songs About Snow - Tuck Andress(1991)

 もうみんな寝た?
 じゃぁ、今晩はこのアルバムを聴こうかな。
 ギター一本で叙情豊かに奏でられるクリスマスの名曲の数々。我が家に暖炉はありませんが、暖炉にくべた薪のはぜる音を聞きながら照明を落とした部屋でココアを飲んでいるような、そんな心安らかで暖かい気分になれる一枚です。
 静かですが、時折混じるアップテンポな曲がアクセントになって飽きることがありません。讃美歌(Hymns)、祝歌(Carols)、クリスマスソング(Songs About Snow)が、それぞれの味わいを生かして見事に弾き分けられていることに感激します。
 この一枚に出会えたことを神に感謝したくなるような名演です。

2010年12月13日月曜日

Merry Christmas - Mariah Carey(1994)


 マライア・キャリーの頭文字M・Cにかけて"Merry Christmas"。その名の通り、彼女の代表作ともいえる一枚になりました。と同時に、近年のクリスマスアルバムを代表する一枚でもあります。今年、続編の"Merry Christmas II You"が発表されましたが、その完成度では第一作の足元にも及びません。
 圧倒的な歌唱力で歌い上げる荘厳な讃美歌の数々に、絶妙のバランスで挿入されるオリジナル曲。最初から最後まで、とても「ながら」では聴けないほどに聴くものを虜にして離しません。
 正直言って、聴くことにエネルギーのいるアルバムです。私には、体調の良い時しか聴くことができません。このアルバムを聴かずに越した年も何回かありました。
 必聴です。

A Santa Cause: It's A Punk Rock Christmas - Various Artists(2003)


 世の中のいろいろな事柄に対して、「くだらねぇ」とか「クソ野郎」なんて毒づいていそうなパンクロッカーたち(偏見ですか、すみません)が集まって録音したクリスマスアルバムです。売り上げの一部は、エリザベス・グレイザー小児エイズ基金(The Elizabeth Glaser Pediatric AIDS Foundation)に寄付されるそうで、「悪ガキたちもなかなかやるじゃん」って感じです。
 正直言って、誰一人として私が知っているアーチストはいませんでした。クリスマスアルバムでなかったら、一生出会うことのなかっただろう人たちばかりです。でも、聴いてみるとそんなに悪くありません。昔々のロック魂が甦ってくる感じ。想像を超えたアレンジのトラディショナルに、オリジナルの曲も数多く含まれているので、サンタクロースの描かれたCDジャケットをそばに置いていないと何を聴いているのか忘れそうになります。
 "Christmas Night Of Zombies"(MxPx)なんていういかにもな曲や、縦ノリが気持ちいい"I Won't Be Home For Christmas"(Blink-182)等々、不景気をぶっ飛ばしたい夜にはうってつけの一枚です。

Winter Songs - Anuna(2005)


 大晦日のNHK、紅白歌合戦のお祭り騒ぎの後に訪れる「ゆく年くる年」の静けさが好きです。
 画面には大勢の人が映っているのに、誰の声も聞こえない不思議な静寂の中、除夜の鐘を聴きながら一年の来し方を振り返ります。
 アイルランドのコーラス・グループAnunaのクリスマスアルバムを聴いていると、なぜかその「ゆく年くる年」の映像が頭の中に浮かんできます。「癒し」という言葉で安直に括りたくない、透明感のある美しい歌声は、讃美歌を清らかに歌い上げる聖歌隊とも、クラシックの合唱団とも違う、聖夜を飾る星空から降りそそぐ光のような不思議な魅力を感じさせてくれます。
 「年末は第九」と決めているあなたにお勧めしたい。12月31日23時45分になったら、このアルバムを聴いてみてください。

2010年12月12日日曜日

Merry Axemas vol.2 (more guitars for Christmas) - Various Artists(1998)


 最近はどうかわかりませんが、昔のロックギタリストたちはよくギターを壊しました。Paul Simononがベースギターを叩き壊している"London Calling"(The Clash)のジャケット写真は印象的でしたね。そのイメージとあの形から、エレキギターをAxe(斧)と言うことがあります。"Merry Axemas"は、そんなロックギタリストたちが競演する、Steve Vaiプロデュースのクリスマスアルバムです。
 Jeff BeckやJoe Perryに布袋寅泰も加わったvol.1(A Guitar Christmas)と、Steve Lukather、Robin Trower、Al Di Meolaらのvol.2。どちらも名演揃いですが、私の好みはvol.2の方かな。それぞれのギタリストたちの持ち味を聞き比べてみるとおもしろいですよ。

2010年12月11日土曜日

The Christmas Album - David Foster(1993)


 10日に受賞者不在のまま開かれたノーベル平和賞の授賞式の模様がニュースになっていました。それに先立つ8日はJohn Lennonの命日。あちこちで"Imagine"を聞きましたが、この時期になると必ず流れる彼のクリスマスソング"Happy Xmas (War Is Over)"も平和を願う歌ですね。Band Aidによる"Do They Know It's Christmas?"など、クリスマスソングに世界平和を願う曲が多いのはクリスマスがイエス・キリスト生誕の日だからでしょうか。
 Natalie Coleが歌う"Grown-up Christmas List"も、「大人になってサンタさんにお願いするのは、自分自身のためではなく、世界のためのこと」という願い事のリストが歌詞に盛り込まれたすてきな曲です。作詞はLinda Thompson、作曲者のDavid FosterがVanessa WilliamsやCeline Dionらそうそうたるメンバーを集めてプロデュースしたクリスマスアルバムに収録されています。
 このアルバムは惜しくも廃盤になっているようですが、毎年企画されるコンピレーション盤のどれかで"Grown-up Christmas List"を聴くことができると思います。他のアーチストによるカバーもたくさんありますし。
 平和を願うクリスマスソングを聴きながら一年を振り返るのも良いのではないでしょうか。

2010年12月9日木曜日

Christmas Greetings - 鳥山雄司(2002)


 キリスト教徒ではない日本人が賛美歌を歌っても心がこもっている感じがしません。クリスマスにはまだ仕事は休みになっていないので遠くから帰って来る人を待つこともないし、宿り木の下でママがサンタにキスをしたりすることもないでしょう。
 というわけで、どうしても日本人アーチストがクリスマスアルバムを作るのは難しい感じがします。
 そんな中で、私が気に入っている数少ない日本人アーチストによるクリスマスアルバムがこれ。鳥山雄司は、世界遺産のテーマ"The Song of Life"で有名になりましたね。このアルバムでは葉加瀬太郎らと組んで、心休まるクリスマス曲を聴かせてくれます。
 しっとりと、時に軽快に奏でられる彼のギターが、静かな夜(Silent Night)のリラックスした雰囲気を上手に演出してくれます。
 夜11時過ぎに聴くと良い眠りにつけそうですよ。

2010年12月8日水曜日

Cool Christmas (1993)


 12月になりました。色々あって間が開いてしまいましたが、今月はクリスマスアルバムを取り上げて行こうと思います。
(これまでにも、"December"(George Winston)、 "Maluhia"(Keali‘i Reichel)、 "Xmas! The Beatmas"(Rubber Band)が紹介済みでしたね。)

 このジャケット、天使がかわいいでしょ。それでジャケ買いしてしまいました。今は廃盤になっているのでしょうか、amazonでは新品の販売が見つかりません。
 「とりあえず“ホワイトクリスマス”でも歌っとけ」みたいなおざなりなコンピレーションではなく、個性的なアーチストたちが個性的なクリスマスソングを聞かせてくれます。初めて聞いたときは、知っている曲が1曲しかなくて「これがクリスマスアルバム?」と思ったぐらいです。
 私が好きな曲は「恋人が遠くへ行っちゃったよ」という"2000 Mile"(Pretenders)から、「はやく家に帰ってみんなに会いたいよ」"Driving Home For Christmas"(Chris Rea)、そして「クリスマスか、新年には帰ってきてくれよ」とDon Henleyが切々と歌う"Please Come Home For Christmas"(Eagles)までの2~4曲目。もちろんほかの曲も良い曲ばかりです。
 クリスマス以外の季節にも聞けるおススメの一枚です。

2010年11月21日日曜日

Live From Texas - ZZ Top(2008)

 ロックバンドの基本は、ギター、ベース、ドラムのトリオ。その形を不動のメンバーで続けているのがZZ Topです。テンガロンハットにサングラス、サンタクロースのように長いひげと大きなお腹の二人組は、一度見たら忘れられないインパクトがありますね。前に並んだギターとベースの後ろ真ん中にドラムを置いたシンプルなスタイルで、小細工のないシンプルで骨太なブルースロックを聴かせてくれます。
 ギターとベースをくるりと回すパフォーマンスが有名ですが、映画"Back to the Future Part III"(1990)に出演した時もギターとベース、それに太鼓まで回してニヤリとさせてくれました。
 結成は1969年ですからもういい年ですよね。ますますひげが似合う年になりました。いつまでも元気なオッさんたちです。

2010年11月13日土曜日

Yesterday Once More - Now & Then(1973)


 カーペンターズを聴くと胸が痛みます。
 薄暗い教会の礼拝堂で、十字架に架かるキリストが描かれたステンドグラスから差す一条の光のなかにぬかずくわたしの姿が見えます。
 「神様お赦し下さい、本当はわたしはカーペンターズが好きだったんです。」
 このアルバムが出た時、Beatlesなどの話をしている仲間の一人がこれを買いました。それを「女みてーな歌聴いてんじゃねぇよ」と、みんなでバカにしたのです。でも、本当は、深夜放送でかかる"Sing"や"(They Long to Be) Close to You"(遙かなる影)などに耳をすましていました。ラジオの向こうから流れてくるカレンの歌声を、いつも心待ちにしていたのです。
 そういう訳なので、家にはこのアルバムはありません。でもカーペンターズの歌の数々はそらでも歌える(は、ちょっとウソかな)ぐらいに良く覚えています。
 "Superstar"(1971)も"Yesterday ~"同様、ラジオが歌の舞台になっていました。"V"のところでもラジオの話をしましたが、わたしにとって「ラジオから流れてくる音楽」には、特別以上の思い入れがあります。それを思うだけで、涙が出てしまうぐらいに。

Xmas! The Beatmas - Rubber Band(1994)

 あっという間に年の瀬が押し寄せてきます。この頃になると街のあちこちからクリスマスソングが聞こえてくるようになりますね。
 と言うわけで、"X"はXmas(Christmas)です。
 オールスターによるオムニバス盤も色々な味わいがあって良いのですが、やはり一人のアーチストが自分なりのアレンジによるトラディショナルと、オリジナル曲を組み合わせたアルバムがわたしは好きです。"M"のところでハワイアンのクリスマスアルバムを取り上げましたが、今回はBeatlesもとい、そのコピーバンドによる一枚です。
 "HELP!(四人はアイドル)"似のアルバムのタイトル(邦題)は、ずばり「四人はサンタクロース」。試聴サイトでイントロを聴くだけでもニヤリとすること請け合いです。良く知られたクリスマスソングばかりなのですが、ビートルズのあの曲、この曲にしか聞こえないものばかり。ロマンチックな"聖夜"向きではありませんが、楽しいクリスマスパーティにはオススメです。
 ところで、このCDのライナーノーツをモト冬樹が書いているのですが、彼の元相棒グッチ裕三がかつて出演していたハッチポッチステーション(NHK、1996-2005)は良かったですね。番組中のコーナー「江戸川サリバンショー」で彼が歌う「ボヘミアン・ラプソディ風犬のおまわりさん」や「ステイン・アライヴ風クラリネットをこわしちゃった」などの迷曲の数々には腹を抱えて笑い転げてしまいました。DVDあるのかな?

2010年11月11日木曜日

Wired - Jeff Beck(1976)


 歌の合間のギターソロで聴衆を釘付けにするものの、ふだんはボーカルの後ろに隠れていたギターが主役に躍り出た、全編インストゥルメンタルの歴史的アルバムです。
 "W"の順番なので"Wired"を持ってきましたが、本当は前作の"Blow By Blow"の方がわたしは好きです。WiredはJan Hammerの色が強すぎて、なんかなぁ、って感じ。ジャケットイメージの違いが音にも出て、Wiredは派手で商業的、Blow By Blowは通好みな感じがします。
 まぁ、どっちにしても当時のギター少年たちは、この二枚を聴いてBeckにあこがれましたね。わたしはギターを弾けませんが、Beckすげぇ、神!(当時はそんな形容詞はありませんから「カッコイイ!」ですね)と思って繰り返し繰り返しLPを聴きました。ロックからフュージョンやジャズに興味を広げていくきっかけを作ってくれたアルバムでもありました。
 それにしても"Blow By Blow"発表当時の邦題「ギター殺人者の凱旋」はひどかったですね。

2010年11月10日水曜日

Video Killed The Radio Star - The Buggles(1979)


 この歌を超意訳すれば、「新しいテクノロジーが古いものを駆逐していく。でも、僕には昔の方が良かったよ。」となるのでしょうか。
 年をとると懐古的になるものです。でも、そんなに老人にならなくても「昔は良かった」と思うことはありますよね。嵐よりV6が良かった。それよりもSMAP。少年隊、たのきんトリオ、いやいやフォーリーブスでしょ。みたいな。あれ、違うかな。
 この題名をつけた時点で、ある程度のヒットは約束されたみたいなものだったかもしれません。さらに、ノイジーなラジオから聞こえてくるかのような歌声も、この曲を印象的なものにしました。皮肉なことにこのエフェクトには、歌詞のなかであまり良く扱われていない"by machine and new technology"が使われています。
 CDはLP(アナログ盤)を駆逐しましたが、Video(TV)はRadioを駆逐していません。もしかしたら、さらに新しいメディアが登場してもラジオは残るかもしれませんね。似たような例は他にもあるかもしれません。
 時代の変わり目ごとにこの歌が思い出されて、そのたびに「あれ、まだRadio Starは生きてるぞ」と思うのでしょうか。
 そして、やっぱり古くても良いものは残るんだよ、とちいさくつぶやくのですね。

2010年11月8日月曜日

Mapa - Uakti(1992)

 「ブッシュマン」という映画(The Gods Must Be Crazy(1981))で、アフリカ人の主人公は舌を鳴らすような音の混じる言葉(コイサン語)を話していました。今までに聞いたことがないばかりか、想像することも、真似することもできない不思議な言葉です。
 このアルバムを聴いた時、このコイサン語の語感を思い出しました。あの舌打ち音が聞こえるわけではありません。「今までに聞いたことがない」の度合いが、コイサン語と同じぐらいわたしの知識・経験からはずれていたのです。
 試聴できるサイトが見つからず、アルバムもほとんど廃盤になっているらしく、彼らの不思議なサウンドを言葉だけで伝えるのはとても難しいです。既製の楽器を使わない原始的な音楽は「○○のような」と例えることもできません。ジャケットには彼らお手製の楽器の図解が描かれていますが、どれがどの音を出しているのかは謎。全く説明になってませんね(苦笑)。
 アマゾンの密林の奥では、こんな音楽が流れているのでしょうか。そんな感じがする音楽です。

※ その後、MP3ダウンロードで試聴・購入できるようになったので、リンクを貼り替えました。

Time & Tide - Basia(1987)

 二枚目のアルバムからヒットした"cruising for bruising"が、一時期Sony HandycamかなんかのCMで流れていましたね。そこではじめてBasia本人の映像を見たのですが、このデビューアルバムの東欧っぽい(?)雰囲気がウソのように垢抜けていてビックリしました。本人もそう思ったのかどうか、現在発売されてるバージョンではジャケットの写真が変わっているようです。
 おしゃれサウンド的な取り上げ方をされることが多いようですが、このアルバムの時には、ジャケット写真のとおりの毅然とした雰囲気で堂々と歌っている感じがありました。サンバやボサノバ調の曲もそれほどラテンフレーバー満載というわけではなく、ノリの良いポップスでもけだるい雰囲気漂うジャズでもない、色々な要素を取り入れてなんというかイイ感じに仕上げています。
 伸びやかでハリのある歌声が印象的でしたね。

2010年11月1日月曜日

The Sounds of Silence - Simon & Garfunkel(1964)

 彼らのラストアルバム「明日に架ける橋(Bridge over Troubled Water)」の発表が1970年でしたから、Beatlesと同じくS&Gは過去の名曲として聴いていました。洋楽を聴き始めた1970年代前半、CBSソニーが立て続けにS&Gのベスト盤を出してプロモーションをしていたので、ラジオから毎日のように流れてくる「コンドルは飛んでいく(El Condor Pasa (If I Could))」や「サウンドオブサイレンス(The Sounds of Silence)」に耳を傾けていたのです。
 生意気に三木清の「人生論ノート」などを読んで、「孤独は山になく、街にある。一人の人間にあるのでなく、大勢の人間の「間」にあるのである。」という言葉に頷いていたりしていた頃です。
 (I saw...)
 People talking without speaking.
 People hearing without listening.
と歌われる、現代社会において失われたコミュニケーションについて、深夜放送を聴きながらあれこれヘタな思索をしていました。
 もう難しいことを考える知恵も情熱も薄れてしまって、今ここでサウンド・オブ・サイレンス論を述べることはできませんが、半世紀近く前のポール・サイモンの予言は今も生きている、それだけは確かに言えると思っています。

Running on Empty - Jackson Browne(1977)

 映画「未知との遭遇」(Close Encounters of the Third Kind)の公開は、このアルバムと同じ1977年。このジャケットと同じように、真っ直ぐな道が地平線に向かって伸びている絵がポスターに使われていました。ロイ(Richard Dreyfuss)はその道の先に光り輝く宇宙船を見つけましたが、ジャクソン・ブラウンはまだなにかを探して走り続けています。
 ある時、冬の北海道を旅行していて原野の中にまっすぐ伸びる道を見た時、この歌が頭の中に浮かんできました。まだ自分の進む道を決めかねてうろうろしていた時です。自分はどこに向かって走っているんだろう。いや、走ってさえいないんじゃないか。そんなことを誰もいない冬空の下で自問自答したのです。
 "Take It Easy"を共作した盟友Eaglesは、この前の年にHotel Californiaに囚われてしまったけれど、オレは走り続けてるよ。これで良いのかと自問することもあるけど、走っていくしかないんだよ。
 この年になっても道に迷い続けている私は、そんな彼のメッセージを応援歌にして今ももがき続けているのです。
 "Confusion will be my epitaph"(Epitaph by King Crimson,1969)とつぶやきながら。

2010年10月31日日曜日

Jazz - Queen(1978)

 LPの付録に付いていたポスターを見て、目が点になりました。現代のLady Godiva("Don't Stop Me Now"の歌詞に登場します)よろしく全裸の"Fat Bottomed Girls"が公道で"Bicycle Race"をしているではありませんか。
 「なんじゃ、こりゃぁ」と思いつつレコードに針を落とすと、いきなり♪イ~ブラヒ~ム("Mustapha")とアラビア語らしきフレディーの熱唱が聞こえてきました。そこで再び「なんじゃ、こりゃぁ!?」。
 Beatlesの名盤になぞらえて「QueenのWhite Album」という人もいるそうですが、確かにごった煮的な雰囲気はありますね。曲調も今までとは少し変わって来ています。女の子にキャーキャー騒がれるバンドから、もう少し上の層を狙ったような感じ。ただしタイトルの"Jazz"は「大人向けの音楽」ではなく「くだらないもの」という意味だとか。皮肉まじりの歌もあったりして、わたしは彼らの作品の中では一番好きなアルバムです。
 ところで、「ママ。僕のあのポスター、どうしたでしょうね。」

Primitive Love - Miami Sound Machine(1985)

 映画「サタデー・ナイト・フィーバー」(Saturday Night Fever)の日本公開が1978年。私が大学生の頃でした。映画も観ましたし、つきあいで「デスコ(笑)」にも行きましたが、あまり「フィーバー」した憶えはありません。草食系男子だったつもりはないのですが、♪山男にゃ惚れるなよ~と歌われた山岳部員だったので街の遊びが苦手でしたし、なんとなくロックに対してディスコミュージックを下に見ていたような感じもありました。
 それがある日、このアルバムからシングルカットされた"Conga"のプロモーションフィルムをテレビで見ていっぺんに虜になってしまいました。もう会社員になり結婚して子供もいたので、踊りに行ったりはしませんでしたが、なにかむしゃくしゃすることがあった時、やさしいヒーリングミュージックを聴くよりもラテンのリズムで頭を真っ白にする方が断然楽しいと気付いたわけです。
 Amazonで見るとCDは廃盤になっているようですが、PVはYouTube等で見ることができます。何か辛いことがあったら、ちょっとのぞいてみてください。

Orinoco Flow (Sail Away) - Enya(1988)

 それまで「ケルト」という言葉は、様々な妖精たちが登場する神話の世界でしか聞いたことがありませんでした。エンヤの実質的な世界デビューアルバム"Watermark"を手にした時、「ケルト音楽」というキーワードを聞いて、その不思議な音楽は神話の世界からやってきたのだなと妙な納得をしたのを覚えています。
 ポップスやクラシックといった商業的なジャンルに括るには違和感があるけれど、宗教音楽や民俗音楽として特殊な世界に閉じこめてしまうのもちょっと違う。静けさと荘厳さに包まれた演奏に、心が洗われるような気がしました。
 まだ、ヒーリングミュージックとしてケルト音楽が世界に広まる前のことです。
 アルバムの中では一番ポップスに近い雰囲気のある"Orinoco Flow"がヒットしましたね。題名にあるオリノコ川はカリブ海に注ぐ南アメリカ第三の大河です。何で南米なんだろう。それが今でも謎です。
 元サッカー日本代表の中村俊輔が所属していたスコットランドのチームの名前は「セルティック」(Celtic F.C.)。「ケルト人」「ケルトの」という意味です。また新しい「ケルト」を知って、自分の世界の狭さを痛感しました。

2010年10月25日月曜日

ナナン - 小野リサ(1990)

 昔、ワインのCMでかわいい女の子がギターをつま弾きながら歌っていました。今までに聞いたことのないしっとりとした歌。それが私のボサノヴァとの出会いでした。その歌がこのアルバムに集録されている"Passeio nas Estrelas"(邦題:星の散歩)です。
 その頃よく聴いていたAntena(Isabelle Antena)が、ボサノヴァの名曲「イパネマの娘」をカバーしていたのですが、そもそもの原曲を聴いたことがなかったのでピンと来ていませんでした。それが、ブラジル生まれの彼女の歌を聴いて、「あぁ、これか」と合点がいったのです。
 夕方の、少し風が涼しくなった海辺。昼間の喧騒が去った海の家みたいなところで、今日一日の楽しかったことを思い出しながらぽろりぽろりとギターを鳴らしながら歌う人。膝を抱えて聴いている子供。背を向けて椅子に座り、海を見ながら葉巻を吸っているけれど、耳はしっかりとこっちを向いている初老の男。少し離れて砂浜に立っているカップル。そんな風景が浮かんできます。
 リオのカーニバルの熱さとは別の、やさしくて安らかなブラジルが感じられる一枚です。

2010年10月24日日曜日

Maluhia - Keali‘i Reichel(2006)

 毎年、一、二枚のクリスマスアルバムを買っています。お決まりのJohn LennonやWham!が入ったオムニバス盤もありますが、やっぱり一人(一組)のアーティストがオリジナルとトラディショナルを上手に組み合わせて録音したものが良いですね。
 これはハワイのアーティストによるクリスマスアルバムです。ハワイ語と英語、それぞれの言葉でしっとりと歌われるクリスマスソングが心にしみます。最近はハワイ文化のスピリチュアルな面が取り上げられて、「癒しの島」などと呼ばれているようですが、このアルバムにもそんな心休まる感じがあります。
 パーティが終わったあとの夜の余韻の中で、ソファーに深々と沈み込んで聴くと、今年一年の思い出が走馬燈のように浮かんでくるにちがいありません。

2010年10月23日土曜日

Life in a Northern Town - Dream Academy(1985)

 レコードもCDも持っていないし、そもそもこれ以外にこのグループの曲を聴いたことがないのに、たまに聴く機会があると妙に懐かしくつい一緒に口ずさんでしまいます。
 ♪Ah hey ma ma ma …
 彼の地のことは詳しくありませんが、イギリスで北の町というとどの辺のことをいうのでしょうか。曲の調子からはコローが描くようなセピア色の田園風景が思い浮かびます。でも、歌詞からイメージされるのは厚い雲がたれ込める、栄光の時代を過ぎた工業都市。鬱屈した時を過ごす若者が、その思いを爆発させる瞬間があの、hey ma ma ma …の合唱です。英国サッカーの熱烈な応援風景もダブって見えてきました。
 あっ、この感じ、不況の中ワールドカップに湧いた最近の心象風景にぴったり来るかも。
 オーボエとティンパニーが効果的に使われていて、アコースティックでありながら静かなだけではない、静と動を見事に調和させたメロディーがいつまでも耳から離れません。

2010年10月19日火曜日

黒船 - Sadistic Mika Band(1974)

 中坊の頃は単純に洋楽がカッコイイと思っていました。高校に入ると、少し通ぶって見たくなります。そんな時に出会ったのが日本のロックバンド、クリエイション、四人囃子、カルメンマキ&オズ、そして加藤和彦(トノバン)率いる"サディステイック・ミカ・バンド"でした。
 今で言うJ-POPのような洋楽風味の歌謡曲ではなく、本当のロックがここにあるぜ。そんな風に粋がって友だちと話した憶えがあります。
 4つのバンドの中ではサディステイック・ミカ・バンドが一番無難というか、ポップスに近い雰囲気がありましたね。トノバンの人柄が表れていたような気がします。
 2006年に木村カエラをボーカルに迎え、"タイムマシーンにお願い"が再録されてビールのCMで流れていたのを懐かしく聴きました。あの曲をイメージしてこのアルバムを聴くと、Pink FloydのEchoesのような静かな一曲目にちょっと面食らいます。それも束の間、曲のイメージはめまぐるしく変わり、畏れ多くもBeatlesのSgt.Peppers…を彷彿とさせるような緩急をつけた構成で、ぐいぐいとアルバムの終盤まで引っ張られてしまいます。何度聞いても飽きることがありません。
 「オヤジの繰り言」ではありますが、70年代初めの日本のロックシーンを思うと、最近の音楽はどれを聞いてもイマイチな感じがぬぐえません。

2010年10月16日土曜日

The Joshua Tree - U2(1987)

 TVで「世界平和のために」みたいな番組が作られると、"Imagine"(1971)が流れる事が多いですよね。私自身、この曲もJohn Lennonも好きなのですが、意地悪な言い方をすると、いわゆるヒッピー世代の連中ってまわりでワイワイ騒いでいるだけで、行動力はイマイチじゃないの?と思ってしまう事があります。
 それに対して'80年代以降のミュージシャンたちは、Band Aidを初めとして多くのプロジェクトで具体的な成果を出しています。これは評価できる事だと思います。
 そのなかで中心的な役割を果たし、ノーベル平和賞候補にもたびたび名前が挙がるBonoは、このアルバムの中で♪I Still Haven't Found What I'm Looking For と歌っています。彼が探し求めているものは、真実の愛か、神による救いか、世界平和なのか。ミュージシャンとしても活動家としても大きな成果を上げている彼が、いまだに見つけられないものって何なんだろう。その志しの高さには頭が下がります。
 私も時々、"I Still Haven't Found What I'm Looking For"とつぶやいてみる事があります。ただしそれはBonoとは違って、この年になってもまだ人生に迷っているという恥ずかしい理由からなのですけれど。

2010年10月13日水曜日

Immigrant Song - Led Zeppelin(1970)

 あああぁ~って、ターザンじゃないんだから…と苦笑しつつも、この曲嫌いじゃないです。
 わたしは、Freddie Mercury (Queen) や Steve Perry (Journey) などの朗々と歌い上げる系のロックボーカリストが好きなのですが、ロックを聴き始めた最初の頃は、他のロック少年と同じようにギター志向だったのです。それがこの♪あああぁ~で吹っ飛びました。今風にいえば、「Robert Plant、マジやべぇ」ってところでしょうか。やっぱ、ロックは叫びだぜ。
 もちろんJimmy Pageのギターも「マジやべぇ」です。
 色々な評価はあると思いますが、彼らの曲で私が一番好きなのはPresence(1976)の"Achilles Last Stand"。あの全力疾走感には、いつ聴いても、何度聴いても鳥肌が立ちます。そんなゼップに出会うきっかけになったのが、この♪あああぁ~でした。
 

2010年10月11日月曜日

Hotel California - Eagles(1976)

 1969年には荒野をぶっ飛ばしていたイージー☆ライダーたちも、目はしょぼしょぼ、頭は重くなってもう外を走り回る元気はなくなってしまったのですね。ホテルに閉じこもって踊り続ける彼らにとって、過去は忘れたいものなのか、あるいはいつまでも美しい思い出としてとっておきたいものなのでしょうか。
 あまりにも有名なこの曲に余計なコメントは不要ですね。みなさんそれぞれのホテルカリフォルニアがある事でしょう。
 哀切きわまりないメロディーも印象的ですが、暗喩に満ちた歌詞も気になります。つたない英語力を駆使して、何度も何度も読み返しました。昔は♪Take it easyとお気楽に歌っていた彼らに何があったんだろうかと。
 今でも時々、気がつくと夜の闇に向かってつぶやいている自分にハッとする事があります。
 I had to find the passage back to the place I was before. と。

2010年10月10日日曜日

Gontiti

 たとえば天気予報とか、ニュースの合間の季節の花を紹介する映像とか、旅番組ののどかな景色に感動するシーンとか…、きっとどこかで彼らの音楽を聞いたことはあるはず。イージーリスニングでも、ジャズでも、ポップスでもない、もちろんただのBGMでもない穏やかな(時に軽快な)ギターの響きが素敵なグループです。
 彼らの音楽が不思議なのは、何度聞いてもメロディーを覚えられないこと。アルバムを聴いていて、今が何曲目なのかわからなくなってしまうこと。という以前に、聴いていたことを忘れてしまうこと。
 こうしてBLOGを書いたり、コーヒーを飲んだりしていて、ふと気がつくと「あっ、ゴンチチかけてたんだっけ」と思い出す。そんな音楽です。
 右の写真で紹介しているのは、1997年発表の"DUO"。ゴンチチは、"ゴン"ザレス三上と"チチ"松村、二人のギタリストのユニットですが、このアルバムではタイトル通りバックミュージシャンや打ち込みを使わないふたりのギター演奏をたっぷりと聴くことができます。

2010年10月9日土曜日

Fly Like An Eagle - Steve Miller Band(1977)


 前回紹介した"Echoes"の冒頭は、♪Overhead the albatross hangs motionless upon the air
 大海原を見下ろして悠々と漂うアホウドリの姿が目に浮かびます。
 スティーブミラーが、♪I want to fly like an eagle to the sea と歌ったのは、もしかしたら「鷲のように猛スピードで飛びたい」ということだったのかもしれません。けれど、静かなイントロから始まるこの曲を聴いてわたしが思い浮かべるのは、グランドキャニオンの上空を悠然と飛ぶ大鷲の大きく羽を広げた姿です。"Echoes"の山版といった感じでしょうか。
 せせこましい日本にいると、時々、バカみたいにあっけらかんと広いアメリカの景色のなかに自分を置いてみたくなりませんか。そんな時にはこの曲を聴いて、荒野を疾駆するEasyRiderたちを見下ろしている気分を味わって見たらどうでしょう。
 ところで、"F"でもうひとつ外せないのがSteely Danの"FM"。良い曲です。この曲は同名映画のテーマ曲として作られたのですが、このサウンドトラックアルバムは、FM放送をテーマにした映画にふさわしく70年代後半のヒット曲を集めた内容になっていて、同時代に青春を送った人にはお勧めです。
 もちろん、Fly Like An Eagleも収録されています。

2010年10月5日火曜日

Echoes - Pink Floyd(1971)

 ピキーン、という不思議な音で始まるこの曲は、アルバム「おせっかい(Meddle)」のB面を埋め尽くす大作です。クラッシックでもないのにレコードの1面全部が同じ曲というのが新鮮でした。
 "Echoes"を始めて聞いたのは、ロック雑誌「ロッキング・オン」がメジャーになる前の渋谷陽一が解説をして、NHKで放送していたBBCの音楽番組でした。まだMTVが出てくる前、作り込まれた映像がプログレッシブ・ロックの世界観を的確に演出していて、さすがはロックの本場で作られた番組だと納得をしたことを覚えています。
 そこで聞いた"One of these days"(吹けよ風、呼べよ嵐)のベースや"Careful with that axe, Eugene"の悲鳴も衝撃的でしたが、この「ピキーン」の前にはすべてがくすんでしまいます。
 レコード盤を裏返し、レコードを傷つけないように息をこらして針を落とす緊張に続いて、針が盤まで落ちる数秒の沈黙のあとに来るこの音を聞くと、一気に不思議な音宇宙に引き込まれてしまいます。A面から連続するCDでは、この衝撃は薄れてしまうかもしれません。
 アルバムは"Wish You Were Here"の方が ―ジャケットデザインも含めて― 好きですが、曲としては"Echoes"がTheir Bestです。

2010年10月4日月曜日

December - George Winston(1982)

 「癒し・癒す・癒される」という言葉は、本来はキリストが癩者(ハンセン病患者)を救ったような宗教的な医療行為を指して使われてきました。だから、私はなにかというとこの言葉を連発する現在の状況が、あまり好きではありません。
 '80年代に始まったヒーリングミュージック(healing music)ブームの一翼を担ったのがWindham Hill Labelです。なかでもジョージ・ウィンストンは、人気のあるピアニストでした。たぶん、私が社会人になり、結婚して最初に買ったレコードがこのDecemberだったと思います。
 慣れない会社生活、結婚生活に疲れてこのレコードを手にとったのかもしれません。静かな冬の夜に吸い込まれていくようなピアノ演奏が、私の心を落ち着かせてくれました。
 超越的な神が施す「癒し」ではなく、同じ人間の仲間がわけてくれる「やさしさ」が与えてくれる「心の平安」。
 「12月」という題名の通りのクリスマスアルバムですが、最近になってそのことに気付きました。通年を通して聴ける素晴らしいアルバムです。

ChicagoII - Chicago(1970)

 ロックというのは、「おまえが好きだー!」とか「大人(社会)のバカヤロー!」と歌っているのだと思っていました。
 ところが、シカゴの最初期のヒット曲「長い夜」の原題は"25 or 6 to 4"。曲のサビでPeter Ceteraが叫んでいるのは、「4時25、6分前!」。もうすぐ朝だって言うのに、全然曲が出来ないよ~、ということらしいのです。この発見は驚きでした。
 まぁ、当時も今も洋楽の歌詞は言葉が聞き取れず、楽器のひとつとして聞いているに過ぎないので歌の意味に頓着はしていないのですが、日本の歌でこんな歌詞のヒット曲ってあったかなぁ?
 トロンボーンやトランペットを加えたブラス・ロックというバンド形式も新鮮でしたね。管楽器というのはクラシックやジャズで使うものだと思っていましたから。でも、ラッパを思いっきり吹くというのは、大きな声と叫ぶことに通じていて、ロックとしての違和感はありませんでしたね。
 Terry Kathのワウペダルを使ったギターも好きでした。彼の死後ポップな方向に流れていって、ChicagoX(1976)ではグラミー賞を取りましたけど、わたしには昔の方が良かったな。

2010年10月3日日曜日

The Beatles Box (2009)

 中学生になって、少し背伸びをしたくなって洋楽を聴き始めました。カーペンターズの歌にある通りの、♪When I was young / I'd listen to the radio / Waitin' for my favorite songs な夜を過ごしていたのです(from Yesterday Once More)。
 毎晩聞いていた「みのもんたのカムトゥゲザー」(文化放送)のオープニングテーマ曲は、Abbey Roadの"Come Together"。これが最初のビートルズ体験です。
 シュッ!というかけ声と主旋律?を奏でるベースライン。「カッコイイ」の一言でしたね。
 ヒットチャートには"Imagine"がランクインしていた頃。解散間もないビートルズの音楽が、毎日のようにどこかでかかっていました。ストレートなロックンロール、美しいバラード、屈折した曲やコミカルな歌もありましたね。どれが一番と言うことはなく、みな好きな曲ばかりです。
 月に1,000円かそこらだった小遣いをためて、"Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band"を買いました。LPレコードは1枚2,000円 ―今のCDとあまり変わりませんね― だったので、そんなにたくさんは買えません。
 去年発売されたThe Beatles Boxを衝動買いしたのは、その時の鬱憤を晴らしたかったからかもしれません。

2010年10月1日金曜日

Aja - Steely Dan(1977)

 「最初は"A"じゃ」と洒落たわけではありませんが、私の好きな音楽を紹介するのに、このアルバムは外せません。
 山口小夜子を撮ったジャケットが、まず素晴らしい。発売当時はまだCDではなくLPの時代です。30×30cmの大判ジャケットを塗りつぶす黒と、その真ん中にすぅっと入った一本の線の艶やかさ。このレコードを手にした1977年は私がはたちになる直前でした。ジャケットを見た瞬間に、これまでに聞いてきた音楽はガキのものだったな、なんとなくそんな思いを持ったことを覚えています。
 そして封を開け、レコード盤に針を落とした時の衝撃。これはロックなのでしょうか、ポップスなのでしょうか、それともジャズ?
 そのどれでもなく、どれでもある不思議で心地よいサウンド。タイトル曲"Aja"で、♪Chinese music under banyan trees と歌われた空気感 ―リゾートのリラックスした雰囲気と、東洋のストイックな精神世界― に酔っていると、B面 ―LP盤は表裏があって、途中に盤を裏返すという作業があったのです― 最初の"Peg"のポップな感じでちょっと目が醒めて、でもまたすぐに彼らの魔法の世界に取り込まれてしまう。
 Fusionとか、Adult Contemporaryなどという一言ではくくれない魅力は、30年以上経った今でも失われていません。

はじめに

 職場でどんな映画が好きか、という話になりました。過去にたくさんの映画を見て、おもしろいと思ったものも幾つもあるのに、いざ人に話そうと思うとすぐに題名が浮かびません。
 そんな折、TVをみていたら松任谷正隆氏と姜尚中氏が人生で思い出に残る10の音楽について話していました。
 私の人生を彩ってきた映画や音楽について、なにも話が出来ないのは寂しい感じがします。あやふやな記憶を呼び戻して、少し思い出話をしたくなりました。
 私はあまり思い入れが強い方ではないので、「人生で思い出に残る10の○○」というほどのものはありません。というわけで、「無人島にひとつだけ持っていくとしたら何?」という質問にかけてBLOGのタイトルを「無人島には持って行けない」としました。厳選の品ではなく、思いつくままに色々書いていこうと思います。選ばれる音楽や映画は古いものばかりになると思いますが、良かったら見てください。