2011年3月5日土曜日

ゴジラ - 本多猪四郎(1954)

 調布映画祭が開催中です(明日6日(日)まで)。
 「映画のまち調布」ならではのイベントで、毎年、話題作を無料で見られるのがうれしいです。DVDばかりではなく、たまには大画面で見ないとね。
 今日は「ゴジラ」の第一作目を見てきました。その後の怪獣映画の原点となる記念すべき作品ですが、改めてみてみると、今更ながらにその後の作品との違いが際だって感慨深いものがありました。
 ゴジラに破壊された東京の景色は、空襲の跡のようです。被害者の収容先には野戦病院のイメージがダブって見えます。「お父さんの所に行けるね」と言いながらうずくまる母子、そんな台詞が今の映画に考えられるでしょうか。どの場面にも戦争の影が色濃く落ちています。昭和29年(1954)3月に起きた第五福竜丸の被爆事件が映画製作のきっかけになったと伝えられているとおり、戦争はいやだ、町を焼かれたり愛する人を失うのはもうたくさんだ、というメッセージが痛いほどに伝わってきます。
 直接戦争を描いたものではありませんが、寓意に満ちた反戦映画として、怪獣映画なんて子供だましの色物だと言う人にも見て欲しいと思います。
 ところで、ゴジラに関する委員会答弁のシーンに、煮え切らない発言をする男性議員を「馬鹿もん!」と一括する女性議員団が登場します。一時期、「戦後強くなったのはパンストと女だ」といわれていたことがあったのを思い出してにやりとしてしまいました。

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