2013年3月8日金曜日

宇宙人東京に現わる - 島耕二 (1956)

 調布映画祭が始まりました。
 残念ながら土日は出勤なので金曜日の夜の会に、日本初の総天然色(つまりカラー)特撮映画を観てきました。あの岡本太郎が宇宙人のデザインをしたという評判だったのですが、クレジットでは「色彩指導」となっていました。今のカラー映画に慣れた目にはどこが太郎的なのかわかりませんが、当時の反応はどうだったのでしょうか。
 巨大なヒトデ型の宇宙人・パイラ星人が東京に現れます。彼らの目的は地球人に原水爆の開発をやめさせること。唯一の被爆国である日本の国民ならばわかってくれるだろうと期待していたのですが、その容姿が災いして話を聞いてもらえません。
 そこで美人歌手に変身して日本の科学者とのコンタクトに成功するのですが、今度は世界が日本の意見を聞いてくれません。
 地球を襲う流星Rが現れてやっと世界が危機に気づきます。ところが、世界各国の核ミサイルを撃ち込んでも流星を破壊することができません。世界中の核兵器を撃ち尽くしたところで、日本の科学者が発見した新元素を用いたミサイルでパイラ星人が流星を破壊し、地球は救われるのです。
 超B級のゲテモの映画かと思いましたが、なかなかに示唆に富んだ内容で驚きました。東宝のゴジラ(1954)に続いて、大映も宇宙人もので反核を訴えたのです。しかし地球を救ったのはその核をも越えるエネルギーをもった新元素だったという皮肉。戦後間もないこの時期ならではの作品でした。