2012年6月8日金曜日

ラン・ローラ・ラン(Lola rennt) - Tom Tykwer (1998)

 「あぁ、あの時こうすれば良かった。」
 そう思う瞬間が人生には何度もあります。それとは別に、ほんの少しのタイミングの違いで変わった(のかもしれない)運命に驚くこともありますね。例えば、あの時電車に乗り遅れていなければあなたに会わなかった、みたいな。
 ローラはトラブルを起こした恋人のためにベルリンの街を走ります。彼女に残された時間は20分。その時間を惜しんで、とにかく彼女は走ります。彼のもとへとただひたすらに走ります。映像も音楽も一緒に走ります。その疾走感がかっこいい。
 その20分間のドラマが、ビデオを巻き戻すように3回繰り返されます。ところが、1回目と2回目は微妙に違う。2回目と3回目も違います。ほんの一瞬のタイミングの違いから、物語は別々の結末へと導かれていくのです。
 たとえば、ローラが車の前を横切るタイミングがちょっと早かったり、ちょっと遅かったりすることでローラの運命が変わります。それだけではなく、車を運転している人の人生も違った方向に進んでいくのです。
 斬新な映像手法で語られる、そういうサイドストーリーも面白いですね。電車の中でたまたま前に座った人がうれしそうな顔をしていると、今朝何があったんだろう、これから何があるんだろうと想像をたくましくすることはありませんか。そうすると、あんまりわたしがじろじろ見るもんだからその人が席を立ってしまい、そこで彼/彼女の人生が変わってしまったかもしれないとまた別の想像をする。その時のわたしの頭の中の映像が見えたらこんなかな、みたいな感じです。
 前回取りあげた「未知との遭遇」とはまた別の意味で、 "We are not alone." な映画です。

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