2012年1月10日火曜日

ギルバート・グレイプ(What's Eating Gilbert Grape) - Lasse Hallström(1993)

 アメリカに行った時、飛行機から、だだっ広い砂漠や農場の中にポツリポツリと家が建っている風景をたくさん見ました。一軒家だったり、数件が集まった町だったり。日本でそういうところがあれば老人ばかりの過疎の町であることが多いでしょう。でも、アメリカではそんなところに普通の家族が暮らしています。
 そんな町の一つ、年に一度、キャンピングカーの一団が通り過ぎるアイオワの小さな町に住む家族の話です。
 知的障害を持つ弟や過食症の母の面倒を見なければならないために町から出られない主人公。でも、出られないのではなく、自分から出ようとしないだけなのでは?それで良いのかギルバート。君はもっと広い世界を知るべきなんじゃないか?
 ここには、アメリカンドリームも和解すべき家族もありません。少し波風はあるけれど穏やかな日常。でも、ここは過疎の村ではありません。若い人が住んでいる町。思い出に抱かれて毎日を暮らすわけにはいかないのです。未来がある若者の訣別と旅立ちを、スウェーデン人の監督が温かくやさしいまなざしと静かな語り口で描いています。
 なるほど、空から見た町にはこういう生活があったんだね。
 若き日のレオナルド・デカプリオの演技が鳥肌ものです。

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