2010年10月1日金曜日

Aja - Steely Dan(1977)

 「最初は"A"じゃ」と洒落たわけではありませんが、私の好きな音楽を紹介するのに、このアルバムは外せません。
 山口小夜子を撮ったジャケットが、まず素晴らしい。発売当時はまだCDではなくLPの時代です。30×30cmの大判ジャケットを塗りつぶす黒と、その真ん中にすぅっと入った一本の線の艶やかさ。このレコードを手にした1977年は私がはたちになる直前でした。ジャケットを見た瞬間に、これまでに聞いてきた音楽はガキのものだったな、なんとなくそんな思いを持ったことを覚えています。
 そして封を開け、レコード盤に針を落とした時の衝撃。これはロックなのでしょうか、ポップスなのでしょうか、それともジャズ?
 そのどれでもなく、どれでもある不思議で心地よいサウンド。タイトル曲"Aja"で、♪Chinese music under banyan trees と歌われた空気感 ―リゾートのリラックスした雰囲気と、東洋のストイックな精神世界― に酔っていると、B面 ―LP盤は表裏があって、途中に盤を裏返すという作業があったのです― 最初の"Peg"のポップな感じでちょっと目が醒めて、でもまたすぐに彼らの魔法の世界に取り込まれてしまう。
 Fusionとか、Adult Contemporaryなどという一言ではくくれない魅力は、30年以上経った今でも失われていません。

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