2010年10月25日月曜日

ナナン - 小野リサ(1990)

 昔、ワインのCMでかわいい女の子がギターをつま弾きながら歌っていました。今までに聞いたことのないしっとりとした歌。それが私のボサノヴァとの出会いでした。その歌がこのアルバムに集録されている"Passeio nas Estrelas"(邦題:星の散歩)です。
 その頃よく聴いていたAntena(Isabelle Antena)が、ボサノヴァの名曲「イパネマの娘」をカバーしていたのですが、そもそもの原曲を聴いたことがなかったのでピンと来ていませんでした。それが、ブラジル生まれの彼女の歌を聴いて、「あぁ、これか」と合点がいったのです。
 夕方の、少し風が涼しくなった海辺。昼間の喧騒が去った海の家みたいなところで、今日一日の楽しかったことを思い出しながらぽろりぽろりとギターを鳴らしながら歌う人。膝を抱えて聴いている子供。背を向けて椅子に座り、海を見ながら葉巻を吸っているけれど、耳はしっかりとこっちを向いている初老の男。少し離れて砂浜に立っているカップル。そんな風景が浮かんできます。
 リオのカーニバルの熱さとは別の、やさしくて安らかなブラジルが感じられる一枚です。

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