2012年1月16日月曜日

大誘拐 RAINBOW KIDS - 岡本喜八(1991)

 犯罪映画の面白味は「痛快」の一言に尽きます。まるで手品のショーを見るように、鮮やかな手さばきでだまされると、それが悪いことだとは分かっていても拍手喝采を送ってしまいます。
 人が死んだり物が壊されたりするような殺伐としたシーンがなければ、なお良いですね。
 スリとか窃盗とかのつまらない仕事で刑務所暮らしをしたチンピラ三人組が、人生をやり直す大勝負にと、和歌山の山林王・82歳の刀自(おばあさんの敬称)を誘拐する計画を立てます。誘拐が成功し身代金に5、000万円を要求しようとする犯人を、「見損のうてもろうたら困るがな」と一喝して100億円に値上げさせる刀自。なんと、刀自自らがリーダーとなって身代金奪取作戦が実行されるのです。
 刀自を演ずる北村谷栄、刑事役の緒方拳。名演でした。DVDのジャケット写真は二人の合成写真になっていますが、全然違和感がないのが不思議です。そして、鮮やかな手口でまんまと身代金を手に入れる犯人たち。一人の人も死なず、傷つかず、誰も損をしない(?)のが良いですね。その後のエピソードも気が利いています。
 個人的には、日本の犯罪映画史上に残る大傑作と言いたい。そんな作品です。

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